出発準備(文部科学省 在外研究・先進研究教育支援 等経費用)


■ビザ(査証)

米国に長期滞在(2ヶ月以上)するためには、ビザを取得する必要があります。ビザは最寄りの米国大使館で申請します。

ビザの発給は時間がかかるため、1ヶ月以上前から準備する必要があります。(問題は、相手方の機関が発行するDS-2019というフォーマットの入手です。)

米国の大学に研究員等として派遣されるためには、本人はJ-1ビザ、本人に付随する妻や子については、J-2ビザを取得する必要があります。なお、9.11の同時多発テロ以降、J-1、J-2ビザの申請を行うときに、大使館での面接が義務化されました。実際は面接といっても、いろいろ詳しく聞かれるわけではなく、ほんとうに顔見せ程度のものでした。面接には英語が使われると書いてありますが、実際の大使館員の多くは日本語が堪能なので、大体の場合は日本語で行われます。

ビザに必要な書類は、米国大使館のページなどからpdfで入手できます。自分でこれをすべて埋めて、大使館に持っていって申請するのが一番費用がかかりません。もし心配な場合や、予算がある場合は、JTBなどで行われているビザ申請サポートが利用できます。私はビザ申請サポートを利用しましたが、感想としては利用しなくても大丈夫だったと思います。

ここで、ビザ申請料金の$100をあらかじめ払わないといけません。従来は、米国にいる担当の教授が立て替えたりしていたようですが、いまはWWWのページ経由で、日本のクレジットカードを用いて支払うことができます。

あと、J-1ビザ取得のためには、米国側の事務を通してDS-2019という形式の書類を埋める必要があります。これは、J-1取得者の情報(名前、住所、米国入国履歴など)のほかに、受け入れ側の教授の情報と、行う予定の研究の概略などを書く必要があります。

受け入れ側の教授が決まっていれば、その教授の関連するプロジェクトにおける研究テーマの概略を書くだけなので、そんなにてこずりはしません。問題は、相手方の機関が早急に処理してくれるかどうかでしょう。

(実際、2ヶ月程度かかりました。特に、クリスマス休暇(12月25日の週から翌年にかけての約1ヶ月)はたいていの事務がお休みとなります。この時期にほしい場合は、早めに催促が必要でしょう。)


■持ち込むお金と送金準備

米国での生活立ち上げに関して、住むことが決定したアパートのデポジットとかを払うため、旅行小切手か現金が必要になります。我々の場合は、デポジットは$750ぐらい必要になりました。追加して、1か月分の家賃を前払いします。渡米してからすぐは銀行口座がないため、お金のやりくりに困ります。なお、クレジットカード払いなどは受け付けてくれません。そこで、旅行小切手(トラベラーズチェック、TC)払いが必要となります。

経験的な目安としては、100万円ぐらいのTCを持っていくほうが安全です。

また、米国で口座を開設した場合に、日本から送金してもらう人(親兄弟)の用意か、自分でWWW上で送金できるようなサービスの申し込みが必要となります。


■日本の住宅

1月1日に日本国内に不在で、1年以上海外にいる人は、住民税などが免除となります。これを狙える場合は、日本の住宅を処分した上で、転出届けを出す必要があります。我々の場合は10ヶ月なのでこれに相当せず、転出届けは行っていません。


■自動車免許

もし、日本で自動車免許を取得していたら、近くの運転免許試験場等で国際免許に切り替えることで、米国で車の運転ができるようになります。ただし、この国際免許で1年間車の運転が米国でできるかどうかは、州により異なります。

我々が赴任したカリフォルニア州では法律が厳しいため、国際免許は到着した日から1ヶ月程度しか運転してはいけないことになっています。ですから赴任後に、近くのDMV(日本の運転免許試験場相当の場所)で、筆記と実技の試験をうけてカリフォルニア州の免許を取得する必要がありました。


■旅行保険

米国長期滞在用の保険(駐在員、J-1用)に加入する必要があります。我々はAIUのを利用しました。しかし、家族全員で入る場合、値段は相当高いです。

大学では、必要最低限の保険にはいっていないと、受け入れてくれません。米国に来てすぐの事務処理の段階で、保険の確定の打ち合わせがあります。当然、米国の割安の保険に大学の斡旋で入ることもできます。しかし米国の格安の保険は一般的に、医療費が全額カバーされません。(30%程度は自己負担となります。)

聞いた話によると、文科省の健康保険ではこちらの医療費の一部がカバーされるので、一切保険契約なしでどうにかする人もいたようです。しかし、この場合、こちらで病院にかかる場合、かなり高額な医療費を立て替えなくてはなりません。また日本の規定で費用を計算するため、医療費全額が戻って来る保障もありません。

AIUの旅行保険は高額ですが、突然の病気になった場合の医療費は、100%カバーされます。また、自動車保険の一部も入っているため、割安で米国の自動車保険に加入することができます。

特に、子供が小さいと、熱などを出して結構病院にいくことがあるため、ばかにならないかもしれません。(保険が利かないので、ちょっと医者に逢うだけでも、1回$100以上します。AIUの保険では、これが全額カバーで、病院によっては、お金すら払う必要がありません。必要になった薬代や検査料も、基本的に全額戻ってきます。)


■クレジットカード

米国で、ドル建てのクレジットカードをつくることは、1年程度の滞在では不可能です。というのは米国では、どのようにお金をつかっているのかの調査を独自に行ったうえでしか、クレジットカードが発行されません。1年程度の滞在ではこの履歴がないため、許可がされません。

(8ヶ月ぐらい滞在した時点で、クレジットカード作成の勧誘が、しょっちゅう来るようになりました。)

そこで、日本のクレジットカードを利用することになります。円安で多少レートは悪くなったりしますが、しょうがありません。

ここで問題は、生活費に日本のクレジットカードを利用する場合、すぐに利用限度額を超えて、利用できなくなってしまうことです。当面は食費などに日本のクレジットカードを利用しなくてはいけないため、これは死活問題となります。

そこで、できるだけゴールドカードなど、利用限度のおおきなものに更新しておくことを勧めます。

なお、米国ではクレジットカードは身分証明書になりますので、できれば写真付きのものを用意することを薦めます。(日本のクレジットカードでも、身分証明として活用できます。)


■身の回り用品や食品の郵送


米国の住所が決まっていない段階ではやりにくいですが、身の回りの物や食品をあらかじめ送っておくことが必要となります。米国の住所は、大学とか、宿泊予定のホテル宛にします。郵便局や日通などの引越し会社で頼めます。

ここで問題は、9.11以降、関税が厳しくなり、原則として内容物の事前申請が必要となりました。ですが、個人に送る物品や食品はその例外のため、基本的には事前申請は必要ありません。なお、郵便局によっては、食品の郵送を拒否されるところもありますが、それは郵便局の担当者によるようです。


■JALファミリークラブ

わたしの聞いた例では、多くの場合、だんなが先に渡米して生活立ち上げを行い、あとから妻子が来る例が多いようです。この場合、あとから妻子が飛行機で渡米するため、子供の面倒などが大変になります。

JALでは、この場合のサービス(優先搭乗や子供のケア)などができるJALファミリークラブというものがありますので、加入されると便利です。 

さらにJALファミリークラブに入会すると、サンフランシスコ郊外のスーパー動物園(動物園+水族館+絶叫マシン)でのBBQパーティや、ナパワインツアー、航空教室、映画鑑賞会、などに格安で参加できる特典があります。子供ずれだと、この行事は重宝します。


■子供のプリスクールの用意

子供を米国で幼稚園に入れたい場合、予防接種の証明が必要になります。近くの病院にいって相談し、用意してください。

我々の場合、予防接種名の英訳をした書類を自分で作成し、医者に確認とサインを貰いました。2000円程度かかったと思います。なお、予防接種の英語名は、母子手帳に書いてあると思います。

(後述しますが、B型肝炎など日本でやらない予防接種が必要になります。)


■バークレーに限定した話題

UCバークレーへの派遣に限定した場合、SSINNというB&Bで、宿泊と生活立ち上げの斡旋が受けられます。ここはホテルではありません。UCBの訪問研究者(大学や企業の研究者)のみ、利用客として受け付けます。オーナーから、生活立ち上げに関するアドバイスが受けられます。オーナーは地元の人のみが知っている、安全で生活に便利なところを抑えているので、かなりお勧めです。われわれもこのB&Bを利用することで、約1週間という早さで快適な場所に引越し、生活の立ち上げをすることができました。

さらにSSINNを利用することで、SSINNを利用した米国に滞在している日本人の家族と知り合うことができます。そのことで、短期間に日本人会的なものが形成でき、特に奥さんや子供が快適に(日本のように)生活できる可能性があります。まあこれは、バークレーの日本人研究者の訪問数が多いことからいえることですが、渡米してすぐは、どこに日本人が住んでいるかという情報すら入手しにくいので、SSINNのコネクションは重要といえます。