一般的なAIコード生成
仕様からプログラムを生成し、テストを通過させることが主要な目的です。 Web開発やアプリケーション開発では、機能的正当性が主要な評価軸になります。
Generative AI · Agentic AI · High-Performance Computing
コード生成から、自律的HPC研究へ。
大規模言語モデル(LLM)はプログラムコードを生成できるようになりました。 しかし、高性能計算(HPC)では「動くコード」を生成するだけでは不十分です。 CPU・GPU・スーパーコンピュータ上で、数値的正当性を保ちながら、 並列化、メモリアクセス、通信、アルゴリズム、精度を最適化し、 実機で性能を測定し、改善を繰り返す必要があります。
私たちは、生成AI、AIエージェント、ソフトウェア自動チューニング、 スーパーコンピュータを統合し、HPCコードの 設計・生成・実行・検証・性能評価・改善、 さらには研究プロセスそのものをAIが支援・自律化する Agentic HPC を研究しています。
Agentic HPC Research Loop
Research Motivation
一般的なコード生成の評価軸は「正しく動くか」です。 HPCでは、それに加えて性能、性能可搬性、数値精度、並列スケーラビリティが必要です。
仕様からプログラムを生成し、テストを通過させることが主要な目的です。 Web開発やアプリケーション開発では、機能的正当性が主要な評価軸になります。
コードを生成した後、コンパイル、数値検証、CPU/GPU実行、性能計測、 プロファイリング、再最適化まで閉ループ化する必要があります。 ハードウェアに応じて最適実装も変化します。
Research Evolution
個々の研究は独立ではなく、LLMによるコード生成能力の評価から、 マルチエージェント、自動チューニング、実機フィードバック学習、 GPU移植、そして自律研究へと段階的に発展しています。
LLMは数値計算コードと基本的な性能最適化をどこまで生成できるか。
複数エージェントが役割分担し、生成・実行・改善を反復できるか。
実スーパーコンピュータの性能を、LLMの学習報酬として利用できるか。
CPU固有最適化を理解し、GPU向けに構造を再設計できるか。
仮説・実装・実験・評価・改善まで研究プロセスを自律化できるか。
評価・記憶・実行・知識を統合したAI-native HPC基盤を構築できるか。
Research Pillars
生成AIを単なるコード補完として使うのではなく、HPC研究開発全体に統合します。
HPC Code Generation
一般目的LLMがBLAS等の数値計算コードをどこまで生成できるかを評価します。 研究では、ルーチン名だけから正しいCコードを生成できるケースに加え、 OpenMPによるスレッド並列化、SIMD、cache blockingなどの基本最適化も 一定程度生成できることが確認されています。
関連論文:BLAS Code Generation →Multi-Agent HPC Auto-Tuning
VibeCodeHPCでは、Project Manager、System Engineer、Programmer、 Continuous Deliveryなどの役割を持つ複数LLMエージェントが協調し、 要求解釈、コード生成、実行、性能改善を反復します。 単一エージェントではなく、ソフトウェア開発チームそのものをAI化する考え方です。
関連論文:VibeCodeHPC →Learning from Real-Machine Performance
LLMが生成したコードを実際の計算機で実行し、測定したGFLOPSを 強化学習の報酬として直接フィードバックします。 GRPOを利用したオンライン強化学習に加えて、利用する最適化技法を段階的に変化させる Staged Quality-Diversity(SQD)を導入し、性能最適化能力の改善を研究しています。
関連論文:Performance-Aware RL →AI-Driven CPU–GPU Porting
CPU向けに高度最適化されたコードは、必ずしもGPUへ移植しやすい形ではありません。 Deopt-Reoptでは、CPU固有の最適化を一度簡略化(Deoptimization)し、 LLMでCUDAへ変換した後、GPU向けに再最適化(Reoptimization)します。 評価では効果はカーネルやモデルに依存し、万能ではないことも含めて分析しています。
関連論文:Deopt-Reopt →Autonomous HPC Research
HPC-AutoResearch / ARIでは、研究者が逐一指示するのではなく、 AIが仮説を立て、コードを生成し、実験し、性能を測定し、結果を解析して 次の実験を設計する研究ループを構築します。 HPC特有のジョブ投入、コンパイル、実機実験、性能データ管理を 自律研究システムへ統合することが課題です。
HPC-AutoResearch研究情報 →Agentic HPC Infrastructure
AIエージェントをHPC研究に本格導入するには、モデルだけでは不十分です。 エージェント実行基盤、標準ベンチマーク、長期記憶、Knowledge Graph、 性能解析、実行権限、再現性、評価方法などを含むシステム基盤が必要です。 ACRUではこれらをAgentic HPCの研究対象として体系化しています。
ACRU研究テーマ →Research Framework
HPC-GENIEは、生成AIを活用してアーキテクチャに最適化されたHPCコードの 自動生成を目指す研究プロジェクトです。その中でACRUは、 AIエージェントを用いたHPCソフトウェアの自律的な開発・最適化・評価・運用を担います。
LLM、RAG、ローカルLLM、ファインチューニング、自動チューニング、 混合精度、精度保証、XAIなどを統合し、HPCコード生成技術を研究します。
複数AIエージェントが要求分析から実装、コンパイル、性能測定、 性能解析、デバッグ、知識蓄積まで協調するAI-native HPC研究基盤を目指します。
Research Evolution Through Publications
論文を単なる一覧ではなく、「HPC向け生成AI研究がどのように発展してきたか」という流れで示します。
Question 1 — Code Generation
BLAS Level 1–3を対象に、一般目的LLMによるCコード生成、OpenMP、SIMD、 cache blocking等の基本最適化能力を評価しました。
Question 2 — Agentic Auto-Tuning
VibeCodeHPCではPM、SE、Programmer、Continuous Deliveryの役割を持つ AIエージェントが協調し、コード生成と性能改善を反復します。
Question 3 — Learning from Hardware
生成コードを実機で実行し、GFLOPSを報酬としてGRPO学習へ戻すオンライン強化学習を提案。 Staged Quality-Diversityにより、最適化技法の多様性も学習過程へ導入します。
Question 4 — Architecture Transformation
CPU固有最適化がLLMによるCUDA変換を阻害する可能性に着目し、 一度コードを簡略化してからGPU向けに再最適化するDeopt-Reoptを評価しました。 効果がカーネル、モデル、探索予算に依存することも示しています。
Question 5 — Autonomous Research
HPC-AutoResearchでは、一般的な自律研究システムをHPCへ適用する際の インストール、実装、コンパイル、実行、性能測定などのフェーズを分離し、 HPC環境に適した自律実験基盤を研究します。
Tetsuya Hoshino, Shun-Ichiro Hayashi, Daichi Mukunoki, Takahiro Katagiri, Toshihiro Hanawa. LLM4HPCAsia 2026 / SCA-HPCAsiaWS 2026.
ACRUでは、コード生成を超え、AIエージェントの標準評価、実行基盤、長期記憶、 知識表現、性能工学の自動化までを研究対象としています。
Projects & Resources
生成AI・AIエージェント × HPC、HPCコード生成、ソフトウェア自動チューニング、 GPUコード生成、自律型研究システムに関する共同研究・学生研究については、 連絡先をご覧ください。
Future Vision
目標は、人間のHPC研究者を単純にAIへ置き換えることではありません。 HPC専門家の知識とAIの探索能力を組み合わせ、研究開発能力そのものを拡張することです。
将来的には、AIエージェントがスーパーコンピュータを直接利用し、 コードを生成し、性能を測定し、失敗から学習し、 新しい性能最適化方法や数値アルゴリズムまで探索する AI-native HPC research environment の実現を目指します。